私はロースクールを中退しています。
退学の理由は成績不振といたってシンプルです。
今回はロー中退者が就活をするときに直面する現実をお話することで
進学を考えている方が、本当に納得した上で進学ができるような一助になればと思います。
最初に
まずこれからのお話が想像しやすいように、
私の中退当時のスペックをお伝えします。
知名度のある国立ロー中退
国内のどこの地域でも一応名前は知れている程度の国立ローでした。
司法試験合格者も毎年そこそこです。
ちなみに私は未修者コースでした。
大学卒業後3年経過
大学卒業してすぐにローに入学しましたが、1年目で留年が決まってしまいました。
そこで学費を稼ぐために1年間、休学して派遣社員として働いていました。
あとは司法試験に落ちた時、なにかに役立つかもという気持ちもありました。
留年すると奨学金が出ない+学費免除申請ができないと休学前に学校の学生課に言われたのですが
復籍後に確認すると留年しても学費免除申請できますよとあっさり言われたので
学生課にも複数回問い合わせて、できると聞いたとか言って
調べてもらってもいいかも知れません。
1年間の派遣社員経験あり(正社員経験なし)
弁護士の仕事をそばでみたいという気持ちから法律事務で探していましたが、
登録した派遣会社にちょうど弁護士事務所の募集がなく
(たしか司法書士事務所はあった気がします)
弁護士事務所の募集がでるまでの3ヶ月はアパレルで派遣社員でした。
元々アパレルが大好きだったのでしたいことでお金を稼げるのはとても嬉しかったです。
ちなみにアパレルの派遣先は希望のところではなかったですが、すぐ決まりました。
希望していたラグジュアリーブランドだと販売員経験が足りないと言われ、
カジュアルブランドで勤務することになりました。
ローを中退すると直面する問題
就活ができない
私は国内でも知名度のある国立のローを中退しました。
そして退学してすぐに5社の就活サイトに登録しました。
しかし、なにかスキル(資格など)がないと本っ当に就活ができません。
もし、運送業などの肉体労働でもいいというなら話は別ですが、
きっとローに進学するような人はそういった職種を検討するのは皆無に等しいでしょう。
大学生で取ったFP3級やMOSは大した意味を成しません。
ちなみにTOIECの点数が良くても無理ですとも、どのエージェントにも言われました。
ローを中退すると就活に困る理由
社会人経験のなさ
就活サイトを利用していましたが、
各社の担当の方がまず真っ先に口を揃えて言ったのが
「社会人経験がないのはかなりのネック」
大学を卒業してから中退までの3年間、
社会人としての勤務歴がないためただのニート扱いとなるというのです。
休学中に1年間派遣社員として働いていたのですが
それは正社員ではないため社会人経験とみなされないらしいです。
はぁ…..。厳しいぜ。
大学院中退は学歴にならない
さらに、大学院中退というのも学歴にはならないそう。
勉強をがんばっていたことは資格取得などしていないと、
評価されないのです。厳しすぎる….。
まあもちろん、なにも成果を残せなかったわたしが悪いんです。
でもそれくらいは学歴っぽいかんじに認めてほしかった….。
就職先がない
上記の理由からお察しいただけるかと思いますが、
就活エージェントの方々は意地悪だから就活できないと言っていたんではありません。
そもそも募集がないんです。
私が企業側の条件に合わない。
年齢も25歳という微妙なところ。
就職経験のない人よりも新卒か第二新卒を雇いたい企業が多いそうです。
ハローワークには年齢経験不問な会社もありましたが月給16万前後だったので
多額の奨学金を背負った身としては選ぶことはできませんでした。
じゃあどうやって就活したの?
就活エージェント
就活エージェント数社を利用し、
コールセンターとか営業とか色々な業種に全部で100社以上に応募したんですが、
書類が通ったのは1社のみ(司法書士事務所)でした。
ちなみになぜ書類が通過したかは全く分かりません。
面接ではローのことも弁護士事務所でのことも聞かれませんでした。
そして結局不採用でした。
同じ状況の知人は数百社に出して書類が通過したのは2社ほどでした。
ちなみにその知人は超一流の国立ローの中退です。
本当に絶望的なんですよね….。
ここまでで退学してから約2ヶ月。
「真っ向から挑んでも正社員は狙えない」というのを実感しました。
方向転換して派遣社員を目指す
いきなり正社員はいつまで経ってもなれないなという風に考え始めました。
そこで「派遣社員から正社員転換ができる派遣先を見つける」ことにシフトチェンジしました。
先述の通り、休学していた1年は派遣をしていたので
同業種なら経験者優遇を狙えるなという考えです。
というか、もしも中退となったときのために全く何もできないよりはマシと
1年休学して派遣社員をしていたので結局過去の自分が用意していた
セーフティーネットが役に立ったということです。
そして結局この方法で無事弁護士事務所に就職できました。
何が役に立った?
これといったスキルはありませんが、私の就活では派遣での法律事務の経験が有利に働きました。
実は法律事務は多少経験があると採用においてかなり有利になる業種です。
裁判所の場所や調停の申立など1から教える必要のある人より、
ある程度できる人を雇うほうが忙しい弁護士には理にかなっているのです。
休学中は、未経験可でありながらも
色んなことに挑戦させてくれるいい先生の所で働けたので
基本的な法律事務はできるようになりました。
おかげで今の勤務先の派遣社員としての採用面接では
自分ができることと、できない・したことがない業務を具体的に説明できたので
面接から採用の連絡まではとても早かったです。
採用の理由
面接を担当した弁護士と事務員さんになぜ私が採用されたのか聞いてみたところ、
やはり自分ができることと、できない・したことがない業務を具体的に説明できたことが
大きかったようです。
できないことが予めわかっていると、その人の勤務開始までに
何からどう教えるかを用意することができるため雇う側にとっても
人材育成の観点から育てやすいという判断をしたとのことでした。
元々は民事事件の事務経験ばかりでしたが、そのことを承知で家事事件メインの
今の職場で採用されたので、できる業務の分析は大事だなと思いました。
最後に
ロースクールは弁護士を目指す人にとってはある意味憧れであったり、
夢の通過点かも知れません。
しかし内部では成績は相対評価なので、どれだけ満点に近い点数をとっても
評定がCになることだってありえます。
GPAが一定以下になればもちろん留年、退学です。
優秀なローになればなるほど、成績争いは熾烈です。
中には予備試験に合格しているのに学内成績はいまいちという人もいました。
もちろん私はロー進学に反対する気持ちはありません。
素晴らしい教員、意欲の高い同級生、とても刺激的な毎日が過ごせました。
ローでの経験は一生物だと思います。
しかし、もしロー進学からの司法試験合格のみを目指しているなら
予備試験やだめだった時の就活についても
じっくり考えてからチャレンジすることをおすすめします。
追記
退学してしまったこともあり、司法試験という目標が自分の中で失われつつあったのですが、
最近勤務先の弁護士事務所に同年代の弁護士が入所したため、久々に再燃してきました。
やはり身近な目標や、弁護士として働く自分がイメージできると
モチベーションややる気につながるのかなと思います。
ちなみに背負っている奨学金の返済額が大学時代のも含めて約750万円と
かなり多額なため、今回はローへは行かず予備試験ルートで考えています。
(これ以上返済猶予すると返し終わるのがいつになるやらなので…泣)
最近は比較的手を出しやすい価格設定の予備校が増えていることと
合格者数・クチコミの良さ・続けやすさを考慮してオンライン予備校を検討中です。
また、多くのロー生も予備校を受講しており、
授業と併用していたのでロー進学の方も一度予備校を検討されてもいいかなと思います。
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